ウイスキーブームに思う

ウイスキー、小生にとっては大好きなお酒の一種で前からコレクターでもあります。

スコッチにバーボン、ジャパニーズなどなど、ウイスキーもヴァリエーションがかなり豊富である。そのウイスキーが最近また脚光を浴びてきた。しかしながら、、、

数年前にはサントリーが仕掛けたハイボールで世の中の脚光を浴び、最近では朝の連ドラ「マッサン」でも話題になり注目を浴びている。注目が年々上がるウイスキーだが、実はウイスキー受難の時代が長く続いたことはあまり知られていない。

低迷と言われていた日本酒も若い杜氏や印象の向上もあり昨今では人気を高め、焼酎もチューハイや根強い人気から波に乗り、ビールは落ちたものの、発泡酒などビール系飲料は廃れることはなく、ワインも一定の支持を集め続けている。

ウイスキーは、琥珀の液体は、何故か飲まれことはまれであった。43度(これでも加水して整えられ一定にされている)が問題なのか、、、その理由はわからない。ただ、飲まれることは少なかったのは確かだ。人気もなく数々の日本の蒸留所は受難の時代を迎えた。

東亜酒造株式会社がもっていた埼玉県の羽生蒸留所は2000年に稼働が停止され、2004年に閉鎖。メルシャン(閉鎖時はキリン)が持っていた長野県の軽井沢蒸留所も2000年に製造が停止され2011年に閉鎖。同じ長野県の本坊酒造のマルス蒸留所も1992年に製造停止がされた、しかし2011年に製造を再開し閉鎖は間逃れた。しかしサントリーの山崎・白州も、ニッカの余市、宮城峡も最大の量を作り続けてはいないであろうし、先日、白州は33年ぶりに蒸留釜が新設されたほどだ。

実はこの事実はすごい重大な問題なのだ、ウイスキーにとっては。

ウイスキーは蒸留したときには無色透明の液体、これを樽に詰めて熟成することによって琥珀色の魅惑の液体となる。ウイスキーは3年以上の熟成を経ることによって初めてウイスキーになる。ということはだ、今作られているウイスキーが飲まれるのは最短でも3年後である。いきなりブームになったからといって量産しても流通には関係ないことになる。他にもだ、最近世界一のウイスキー(ジム・マレー氏の世界的評価本のウイスキーバイブル2015において、山崎シェリーカスク2013が歴代最高得点に並ぶ97.5点で2015年の中で最高の「ワールド・ウイスキー・オブ・ザ・イヤー」を獲得した。)となった「山崎」、例えば「山崎12年」というブランドがあるが、この『12年』、これが重要なワードで、12年以上の樽熟成を終えたウイスキーをブレンドして一定の香りや味に整え(樽熟成の過程で、樽の中のウイスキーはそれぞれ個性を持つことになる。同様の樽を同日に詰めたとしても数年後には大きく変わるのだ。)最終的に43度に加水をして瓶詰めされて出荷される。このとき12年以下のウイスキーが少量でも入っていたとしたら、そのウイスキーは『12年』とは名乗ることができない。

そして最近のウイスキーブーム、昨年2013年3月に山崎、白州の『10年』ブランドは姿を消した。ウイスキーブームから原酒(樽で熟成されている状態のウイスキー)が不足しているからだと言われる。同様に、竹鶴の12年も姿を消した。山崎の12年も出荷制限をせざるを負えないということだ。

ウイスキーの原酒不足、これは実は海外でも同様なのだ。でも、だからと言っていきなりは量産できない。これがいいところでもあり悪いところでもある。でも、そこに浪漫?を、何かを感じるのもウイスキーのいいところ、一期一会のウイスキーもなんともいえなくいい。

すこしだけ復活の例を紹介しよう。

前述の閉鎖蒸留所の軽井沢蒸留所、ここのウイスキーは昔から世界的に評価されていた。そのウイスキーはもちろんまだ熟成過程にあるものもある。それが時々リリース、発売される。今では入手困難で、もちろん価格も高騰しているのだが。また、同じく前述の閉鎖蒸留所の羽生蒸留所、ここで蒸留されたウイスキーは肥土伊知郎氏によって保管され、イチローズモルトとしてリリースされてきた。トランプの絵柄がプリントされたカードシリーズは、最初は比較的入手しやすくとても美味しいウイスキーだったが、今年発売された最後のジョーカーは、超入手困難な人気ウイスキーとなっていた。またこの肥土伊知郎氏が新設した秩父蒸留所のウイスキーも瞬く間に世界中に売れていき入手困難となっている。

やはり、次世代のためにも良いウイスキーの原酒を生産して残していって欲しいと思う。いつまた下降線をたどるかわからない、受難の時代を迎えるかわからない。けど、きっといつかまたウイスキー、琥珀色の液体が愛される時も来ると願って。

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