オーストリアの作曲家フランツ・シュミット、同年代にフローラン・シュミットというフランスの作曲家がいるため、F. シュミットとも書かれずフルネームで書かれる珍しい作曲家でもある。それにしても、玄人好みの作曲家かもしれない。
ナチズム協力の非難(これは事実とは違うというものらしいが、そのあたりは詳しくもなく調べてもいないので割愛)から、長年にわたって表には多くは出てこなかった。1970年代から徐々に演奏はされているが地味な印象は変わらない。ただ、ヨーロッパでは10年くらい前から、日本でもここ数年、多くの指揮者が取り上げるようになってきた。シュミットの魅力とは?
彼はチェリストでウィーン宮廷歌劇場管弦楽団の首席チェリストとして、有名なグスタフ・マーラーの下で演奏していた。ちなみにシェーンベルクの「浄夜」の初演もしている。また1910年からはウィーン音楽院のピアノ科で教鞭をとっている。後年には作曲、対位法を教えることになる。そんな多才の彼の作風は、保守的であると評される。同じオーストリアの作曲家シェーンベルクが1874年9月生まれで、フランツ・シュミットも同じ1874年の12月生まれと考えると彼がいかに保守的だったかがわかる。若いときにはブルックナーに師事をしたともいわれており、今現在では最後のロマン派の作曲家といわれている。
きわめて保守的ではあったが、もちろん実験的な部分がないわけではもちろんない。交響曲の第2番などは実験色が強いのではあるが、やはり交響曲という伝統的な枠組みは壊さないで作曲しようと試みている。その次の交響曲の第3番は「シューベルトの精神に基づき書いた」と作曲家自身が公言したように古典的な歌心とんだ作品になっている。
こんなことを書いていると、器用貧乏の感じがしてこないだろうか?
オーケストラでチェロを弾いて稼ぎ、音楽大学でピアノを教えて稼ぎ、作曲もし、音楽院の理事そして院長までもした。もちろん多くの作品は晩年に書かれているのではあるが、、、
そんな器用貧乏作曲家フランツ・シュミット、何でも屋の彼だからこそかける曲があった。リヒャルト・シュトラウスの旋律感、ブラームスの楽器法、ブルックナーの構成・オルガン音響などの様々な影響を受け、ワーグナー、マーラーと続くドイツ・オーストリア音楽の伝統の保守を頭の片隅においた音楽は、彼にしか書けないものであると思う。作曲家にとって同年代や過去の同じ作曲家をリスペクトするというのは重要なことで、源流というのは注目すべきものであり、作曲家にとっても重要な何かの一つであると思う。もちろん、彼の曲がもしブラームスの時代にかかれていたら、それはいますごい名声を得ていたのかもしれない。ただ、リヒャルト・シュトラウスほどねちっこくはないが、それらしい魅力的な旋律、ブルックナーのオルガン的な響きと独特の旋律感、ブラームスの重厚感などなど、いいところどりでライトで聴きやすい。抒情感があるのでなじみやすい。多くの作曲家の影を色濃く感じる部分もあるが、シェーンベルクほどはいかないけどギリギリのところを狙ったモダニズム、そしてとてもロマンティックな曲を書くオーストリアの作曲家、けっこう面白いのではないだろうか?けっこう魅力なのではないだろうか?
フランツ・シュミット、イメージよりはかなり聴きやすくて、かなりロマンティック、ただその中にも何か非常に強い表現がある作曲家、それがフランツ・シュミットの音楽。でも、実は譜面をみると演奏は結構難しい。簡単ではありません。。。それがまたなんとも!
フランツ・シュミット http://t.co/pNIef4nSND