May 01, 2006
モーツァルト管弦楽技法
最近まで、モーツァルト「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」の編曲をやっていたので、それに関係する話題を書きたいと思います。先日のブログにも書きましたが、小生の得意?とするドイツ式管弦楽技法です。
アイネ・クライネ・ナハトムジークは、1787年に作曲、父親が無くなり、「ドンジョヴァンニ」が作曲された年の作曲です。交響曲でいうと第38番「プラハ」ニ長調が1786年作曲、第39番変ホ長調が1788年の作曲ですので、その間に書かれた曲といえます。
ただ、この有名曲もモーツァルト存命中に初演されたか、オリジナルの形なのか(モーツァルト自作のカタログによると、5楽章とされている)も不明なのです。
交響曲でいうと第38番「プラハ」ニ長調が1786年作曲、第39番変ホ長調が1788年の作曲です。
ただ、この時代の作曲として留意しないといけない点があります。
今の楽器とは勝手が違ったということです。当時は、まだクラリネットはメジャーな楽器ではなく吹き手も少なかったとされます。
モーツァルトの交響曲でクラリネットが初めて登場したのは、1778年に作曲された第31番「パリ」ニ長調です。そして、この曲が通常2管編成の最大編成で書かれたモーツァルト唯一のオーケストラです。
モーツァルトが後期に一番用いていたオーケストラ編成というのは、オーボエ2、ファゴット2、ホルン2、(トランペット2)、ティンパニー、弦4(5)部という編成です。(〜30番までは、この編成からファゴットが抜かれることが多い。)交響曲第32〜38番はこの編成を基本に作曲されています。
そして第39番〜41番(モーツァルトの有名交響曲3曲)フルートが足されています。(39番はオーボエでなくクラリネットを用いています。また、35、40番では第2稿でクラリネット(フルート)が足されています。)
そして、楽器でもうひとつ留意することは、この時代の金管楽器は自然管であったこと。倍音列しか基本的にはならないので、演奏に制約があるという点です。
今回の編曲は、フルートソロ+オケの為の編曲の為、編成は、フルートソロ、フルート2、オーボエ2、ファゴット2、ホルン2、トランペット2、ティンパニ1、弦5部として、クラリネットを編成から省きました。制約もでてきますが、時代を考えるとやはり抜くべきかと思いまして。。。
この時代の一番の管弦楽技法的な考察点は、
やはり、金管楽器の使い方ではないかと思います。
ベートーヴェンの時代まではトランペットとティンパニーは黄金の結合のような用いられ方をして、必ず同時に現れます。モーツァルト、ベートーヴェンのスコアを見ると一目瞭然なのですが、この鳴りは、いささか鳴り過ぎるという点で怖いものもあるような気がしますが、未だに用いられる組み合わせ方です。そして、この組み合わせで、リズムやトゥッティを際立たせています。
そして、あえてもう一つあげるとするなれば、明るい軽快な曲が多い影響もあると思いますが、管楽器の長い持続音的なものが圧倒的に少ないのです。もちろん弦が刻んで管楽器が持続をするという、ロマン派の管弦楽法で用いるような手段を使っているところも、細かく見ればあるのですが圧倒的に少ない。オーケストラの支えの見本とされているような、チャイコフスキーの用いているようなホルンの使い方などは一切ないのです。これが、この時代の管弦楽法の大きな特徴でしょうか。
金管の用い方と、弦の刻みの伴奏系(モーツァルトは、低音は八分音符、高音は十六分音符の組み合わせが多いのですが)が、初期中期古典派の管弦楽技法の特徴だと思います。
そして、やはりもう一つだけ書いておかないといけないと思うのは、オーボエと弦楽器の重ね方。
大バッハ(J.S.バッハ)の時代も、オーボエとヴァイオリンのユニゾン又は、1オクターブの結合というのが頻繁に用いられて、独特の雰囲気をかもし出しています。興味がある人は、この時代のCDを引っ張り出してきて聴いてみて下さい。現在では、音量、音色の強化の為には、フルートとヴァイオリンや、クラリネットとヴィオラという組み合わせが有効かつ、音響学的にもベストの組み合わせとされて、作曲を齧ったことがある人は、良く用いています。そして、単調になってしまったりもしているような気がします。
しかし、このオーボエとヴァイオリンの組み合わせ、オーボエの独特の雰囲気をのこしつつ、ヴァイオリンに張りを与えるというか、いい雰囲気をかもし出すのです。
オーボエは特徴的な音色で、うるさいと敬遠されている気もありますが、ここらあたりの用い方や、持続音的な用い方ですばらしい個性を発揮出来る楽器だと思います。
これを書いていて思ったのですが、小生の管弦楽技法は、ほぼ独学なのです。学校でも、自分の所属している講座(研究室)は、そういう技法を教えてくれませんし、授業では、オーケストラ団員や倍音がどうだとかのマニアックで閉鎖的かつ、日本的な変なことしかやりません。(確かに、ある意味においては重要かもしれませんが)でも、確かにこういう技法は自分で発見した時の喜びや驚き、充実感の方が強いですし、自分でそれを生かそうとしますし、自分の肉となり、血となります。
前にも書いたのですが、今年度のテーマはハリウッド式管弦楽技法!?先日、数冊、スコアを取り寄せたので楽しみです!
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